状態・予後を把握するための指標

ACP(アドバンス・ケア・プランニング)や意思決定支援を進めていくうえで、医療介護従事者が対話を始めるためには「いま、患者さんがどのような状態なのか」を知っておくことはとても大切です。
今回は、緩和ケアや在宅医療の現場で活用されている、状態や予後を把握するための代表的な指標・ツールをご紹介します。
サプライズクエスチョンやPIG、SPICT-JPなどは、単に予後を予測するためのものではなく、患者さん・ご家族とこれからの医療やケアについて話し合う“きっかけ”としても活用されています。

状態・予後を把握するための指標まとめ
サプライズクエスチョン(Surprise Question)
「この患者さんが今後12か月以内に亡くなったとして、私は驚くだろうか?」と医療者が自分自身に問いかける方法です。
予後を正確に予測するものではなく、緩和ケアやACPについて考え始めるタイミングに気づくためのツールとして活用されます。
PIG(Prognostic Indicator Guidance)
主に緩和ケアや在宅医療の現場で用いられる「予兆指標ガイドライン」です。
全身状態や疾患ごとの臨床的な変化から、病状の進行や予後が限られている可能性に気づき、今後のケアやACPを考えるきっかけとして活用されます。
SPICT-JP(Supportive and Palliative Care Indicators Tool 日本語版)
病状の進行や全身状態の変化から、支持療法・緩和ケアのニーズが高まっている人を早期に把握するためのツールです。
がんだけでなく、心疾患・呼吸器疾患・腎疾患・神経疾患・認知症など幅広い疾患で活用できます。
https://www.spict.org.uk/translations/
PPI(Palliative Prognostic Index)
進行がんなどの患者さんの短期予後を予測するための臨床評価ツール「緩和ケア予後指標」です。
PPS、経口摂取、浮腫、安静時呼吸困難、せん妄の5項目を点数化し、主に数週間単位の予後を考える際の参考として用いられます。
PS(Performance Status)
患者さんの全身状態や日常生活の活動性を0~4の5段階で評価する指標です。
病気によって日常生活がどの程度制限されているかを把握し、治療やケア方針を検討する際の参考として用いられます。
https://jcog.jp/doctor/tool/ps/
FAST(Functional Assessment Staging of Alzheimer’s Disease)
アルツハイマー型認知症の重症度を、日常生活機能の変化から段階的に評価する尺度です。
認知症の進行状況を把握し、その人の状態に応じたケアや意思決定支援を検討する際の参考になります。
https://www.ncgg.go.jp/dementia/about/answer.html
以上、ACPや意思決定支援を考える際に役立つ、主な指標・ツールをご紹介しました。
これらの指標は、患者さん一人ひとりの未来を決めるものではありません。
病状や生活状況だけでなく、ご本人が大切にしていることや希望、ご家族の思いなども含めて、総合的に考えていくことが大切です。
「そろそろ今後のことを話し合った方がよいだろうか」
そんなふうに迷ったときに、患者さん・ご家族との対話を始めるひとつの参考として、ぜひご活用してみてください。
ホスピスケアを広める会では、これからも人生の最終段階における意思決定支援やACP、緩和ケアに役立つ情報をお届けしていきます!


